三重大学

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活動概要東紀州サテライト

ウニ除去を通した三重県南部の藻場再生活動の推進

平成29年 7月 6日 ~ 平成30年 3月31日 
代表者/倉島彰

地域貢献活動

活動の概要

 近年,本邦各地で磯焼けと呼ばれる藻場の衰退現象が広がり,沿岸域の生物多様性や漁獲量が減少してきている。これまでの研究で,三重県の磯焼け対策としては,藻食動物であるウニ類除去の効果が大きいことが判明している。そこで,本活動では,NPO法人および市役所による藻場再生活動(ウニの一種であるガンガゼの除去)と大学の研究の連携,そして藻場の役割に関する啓蒙活動を行なうことを主な目的とした。

 大学は藻場と磯焼けの現状把握調査を,共同実施者である尾鷲市役所水産商工食のまち課とNPO法人SEA藻は藻場再生活動の普及と啓蒙活動を主に担当し,尾鷲市尾鷲湾で藻場,磯焼けの調査を行なった他,志摩市和具大島西部において海藻量と藻食動物量の調査を実施した。

活動の成果

 尾鷲湾では,浅所ではサガラメが回復しつつあるが,深所ではサガラメではなく一年生コンブ類のアントクメが増加し,磯焼け前とは藻場構成種が変化していることが明らかとなった。また,三重県では志摩半島東部から和具大島にかけては藻場が広がっているが,先志摩半島の西部の御座白浜以南では,磯焼けがみられることがわかった。

 藻場再生活動では合計22回の除去作業を行った。参加したダイバーの延べ人数は245人,除去したガンガゼの数は27万個以上に達した。また,啓蒙活動として,3つの漁協において,ヒジキ群落や藻場に対するウニ除去活動の効果について説明会を行った。

 これらの研究結果の一部は,三重県との磯焼け研究をまとめた「三重県版磯焼け対策ガイドライン」に取り入れた。