三重大学

文字サイズ
  • 白黒反転
  • テキスト表示

活動概要伊賀サテライト

炙り出し研修(忍者研究)

4月1日~3月31日 
代表者/

市町とのプロジェクト

活動の概要

烽火(のろし)と同様に過去に忍者が利用したと思われる通信手段の一つである「炙り出し」について炙り出しの機構については殆ど科学的に検討されていない。今年度は、溶液中のカリウム(K)濃度、有機物濃度(TOC)を測定した。また灰の主成分を蛍光X線で分析した。あわせて熱電対(接触式)と放射温度計(非接触)による炙り出し時の温度を測定するとともに炙り出し部分を走査型電子顕微鏡(SEM-EDX)で観察した。

活動の成果

*K濃度とTOC

炙り出しインク中のK濃度はいづれも高濃度(ミカン汁、どぶろく、大豆抽出液)であった。特に灰抽出液ではその傾向が高かった。また、ミカン汁、どぶろく、大豆抽出液はいづれもTOC濃度も高かった。

 

*灰の分析結果

灰抽出液からも明瞭な炙り出しが可能で、あぶり出しに関係が深い主成分はK、S(イオウ)であることがわかった。

 

*炙り出し温度

これらのインクを和紙にに塗ると、加熱時にその表面温度が50~100℃程度低下することが確認できた。

 

*表面分析結果

炙り出し表面部分に未塗布部分よりもKやS濃度が高く明瞭な境界が認められた。

 

*成果の活用

1)これらの結果は国際忍者研究センターの市民講座(Youtube、12月5日)で配信された。現在(1月)200回の試聴状態である。理系からの情報の発信ということで自然科学者が興味をもっていただいたようである。

2)12月11日には大学院生(5人)に「忍者の通信手段、のろしとあぶり出し」ということで5時間の講義と実験を行った。

3)寺子屋活動で親子が昔懐かしい炙り出しを楽しんだ(1/17)