三重大学

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活動概要伊勢志摩サテライト

アコヤガイ外套膜萎縮症に関する調査研究

年間を通じて 
代表者/古丸 明

中小企業との共同研究

活動の概要

2019,2020に英虞湾で生じたアコヤガイ外套膜萎縮症状に関する症例に関して貝殻タンパク質遺伝子発現レベルでの解析、貝殻の異常について、表面、断面の組織学的調査を実施し、原因究明の取り組みを行った。

活動の成果

6種類の貝殻形成タンパク(殻皮、稜柱層、真珠層を形成する)、は萎縮した外套膜を持つ個体で顕著に発現量が低下していたことが明らかになった。一方、外套膜MC(中央部)では本来発現量が低いMSI31(稜柱層)が逆に発現量が増加するという正常な貝で見られない状況が明らかになった。貝殻に関しては、真珠層の凹凸が顕著であり、その断面は本来、稜柱層、真珠層の2層構造になっているところ、内側に新たに形成された稜柱層、真珠層が認められ、合計4層が形成されていた。一旦外套膜が萎縮して回復した後に、外套膜の分泌が異常となり

顕著な凹凸の原因となっていることが明らかになった。外套膜が萎縮する要因の一つとして、貝殻分泌、特に殻皮の形成量が著しく低下し、外的な刺激(水温塩分の変動)があった際に、殻皮が断裂し、その結果外套膜が萎縮するという症状になることが想定された。そのような症状に至る要因としては、餌不足、高水温等の環境条件が大きいと判断された。