活動概要伊勢志摩サテライト
アコヤガイ養殖に関わる課題解決のための調査研究(志摩市官学連携研究助成事業、共同研究 )
平成30年5月〜平成31年3月
代表者/古丸明
市町とのプロジェクト
活動の概要
志摩市官学連携研究助成事業に基づく志摩市との共同研究として、アコヤガイ養殖に関わる課題解決に向けて以下の調査研究を実施した。
①アコヤガイの貝柱以外の食用化研究
②アコヤガイ養殖における疾病と養殖環境改善のための研究
③真珠の評価と真珠層の形成過程に関する研究
活動の成果
①アコヤガイの貝柱以外の食用化研究
真珠を収穫する際に海に投棄される軟体部の有効利用法について、マリンフーズ、若狭大月真珠と検討を行なった。養殖場において真珠を手で収穫し、軟体部を損なわない形でむき身にする方法で、コスト、手間がどれくらいかかるのかを把握した。軟体部については一個あたり数円以下の工賃で回収が可能であることが明らかになった。加工食品として、佃煮、燻製等の試作を行ない、試食でも高評価を得たが、貝殻、ケシ真珠等の混入率が高く、異物の除去に課題が残った。
②アコヤガイ養殖における疾病と養殖環境改善のための研究
寄生虫ポリドラの感染と真珠の巻き、真珠層一層の厚さに及ぼす影響を評価した。真珠全体の巻き、真珠一層の厚さいずれも 健常貝の方が厚く、感染は真珠の品質を顕著に低下させることが明らかになった。
③真珠の評価と真珠層の形成過程に関する研究
ALCという色素を挿核したアコヤガイに月一回取り込ませて、毎月の真珠の巻き等を評価した。真珠の成長は水温と正の相関があり、8月が最も巻きが良いことが明らかになった。水温が低下するにつれて、巻きは薄くなった。一方、一層の厚さは8-11月はコンスタントであったが、冬季には著しく薄くなる傾向が明らかになった。光沢の良い真珠と悪い真珠の真珠層一層の厚さを比較した結果、良い真珠は表面20層の一層の厚さが薄くなっていることが明らかになった。