三重大学

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活動概要東紀州サテライト

尾鷲市尾鷲湾及び賀田湾における藻場追跡調査

平成29年 4月 3日 ~ 平成30年 3月31日 
代表者/倉島彰

市町とのプロジェクト

活動の概要

 尾鷲市内の湾では藻場が衰退する磯焼け現象が広がっている。そのため同市内の尾鷲湾と賀田湾では1990年代から藻場と磯焼けの追跡調査を行ってきた。

 尾鷲湾では2012年までコンブ目藻類であるサガラメの藻場が回復傾向にあったが,2013年に磯焼けが発生した。2018年度は,尾鷲湾では磯焼け発生および藻場再生の過程とその要因を潜水により調査した。賀田湾では2000年代初頭までは磯焼けとホンダワラ類からなる藻場が混在していたが,現在は湾口部を除くほとんどの場所で磯焼けとなっている。2018年度は陸上からの目視およびドローンによる上空からの空撮による藻場,磯焼けの観察を行った。

活動の成果

 尾鷲湾のサガラメは岸側の浅所のみに生育しており,深所には一年生コンブ目であるアントクメが生育していた。そこで,海中にタイムラプスカメラを設置して観察したところ,9月に藻食魚のアイゴが来遊し,深所の海藻を摂食していることが明らかとなった。アントクメは9月までに成熟して枯死するために摂食の影響を受けない。一方,サガラメは9月にはまだ幼体で,アイゴに摂食されるため深所に生育できないと考えられた。

 賀田湾の内湾部では浅所にわずかに小型海藻が見られるのみであった。特に湾奥部ではガンガゼが多数生育している他,河川からの濁水の流入もあることがわかった。これらが海藻植生に影響を与えている可能性が高いと考えられた